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August 06, 2010

地位パワーがなくてもリーダーシップは発揮できる(2)−『静かなる改革者』

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デブラ・E・メイヤーソン
ダイヤモンド社
2009-07-03
おすすめ平均:
なんのこっちゃ?
改革の旗手を待ち望んでいるだけの人々への貴重な提言
自己に忠実に、静かに抵抗する
posted by Amazon360

 (前回の続き)

(2)ダイバーシティマネジメント、女性活躍推進の担当者
 この本はリーダーシップの本ではあるが、企業でダイバーシティマネジメントを推進している担当者にとっても有益な情報が含まれている。というのも、同書で分析の対象となっているリーダーは、女性社員を始めとして、黒人やアジア人などの有色人種、さらにはゲイやレズビアンといったマイノリティに該当する人々だからである(おそらく、同性愛者を取り扱ったリーダーシップの本は、日本ではこの本以外にほとんどないだろう)。

 本ブログでも、これまで何度かダイバーシティマネジメントについて論じてきた。日本の場合、まずは女性社員の活用からスタートすることが多い。しかしながら、ワークライフバランスを考慮した働きやすい職場作りや、ワーキングマザーのコミュニティ形成などで止まっているケースが多く、欧米に比べると大きく出遅れていると言わざるを得ない。

 本気で女性活用するならば、コミュニティ形成だけではなく業務改革すべき
 法定の育休と時短制度を整備して満足してるようじゃ女性活用は進まない

 マイノリティが社内で活躍の場を広げるためには、単に福利厚生をいじったりネットワークを構築したりするだけでなく、日常業務のあり方を構造的に変える必要がある。マジョリティの価値観に沿って構築されている職務分担、権限配分、業務プロセス、意思決定の方法、仕事のルール、慣行、人事評価の基準などを洗いざらい点検し、マイノリティの価値観と共存できるように再構築していかなければならない。

 本書には、そのような日常業務の改革事例が多数登場する。例えば、ある企業はハードワークが当たり前とされる職場であり、毎週土曜日に経営会議が開かれる慣行があった。ところが、仕事と家庭のバランスを大切にする役員が加わったことがきっかけで、会議日程のルールの見直しが始まる。

 この問題は、平日に経営会議をずらせば済むような簡単なものではなかった。平日に会議を開催すると、今度は役員が部下とコミュニケーションする時間を失い、平日の業務に支障が出るからだ。

 前述の新しい役員も、毎週子どもと遊ぶ必要があるとまでは思っていなかった。そこで、月に1回は平日開催とし、その際には会議の途中で数時間の休憩を挟むことにした。この休憩時間中に、各役員が部下と電話やメールのやり取りを行うことで、日常業務をストップさせずに経営会議を進めることが可能になったという。

 この事例からも解るように、ダイバーシティマネジメントの実践にあたっては、日常業務のかなり細かいところまでメスを入れる必要がある。本書で取り上げられている数多くの事例は、日本企業でダイバーシティマネジメントに取り組む人々にとって大きなヒントとなるに違いない。

(3)日業業務に対する怒りや不満がいっぱいで、今にも爆発しそうな人たち
 日々仕事をする中で、組織の論理に押しつぶされそうになっている人たちは少なくないだろう。組織に譲れない価値観があるのと同じように、社員にも譲れない価値観がある。両者の価値観がせめぎ合う時、社員は強いフラストレーションを感じるものだ。

 だからといって、怒りに任せて何か行動を起こしても、あまりいい結果は得られない。最悪の場合、今までの成功を棒に振ることになる。過去の記事「果たして意思決定に感情は不要なのか?」でも書いたように、怒りは合理的な意思決定を歪める副作用がある。反射的な行動は表面的な問題を解決するかもしれないが、実はその場しのぎで終わる可能性が高い。

 ただし、怒りが合理的な意思決定を妨げるということは、怒りが全く無用であることを意味するわけではない。またしても過去の記事の紹介で恐縮だが、「感情は問題提起のサインである」で述べた通り、怒りは表層的な事象の裏に隠れている構造的な問題の存在を知らせるサインである。本書の著者は次のように助言している。
 身近な出会い(※ここでは、自分の価値観やアイデンティティを脅かす他者の言動を意味する)の背後にある、より大きな問題やその他の手法を追求する努力があれば、広範囲にわたる学習機会をもたらすことができただろう。そのためには、交渉を行うときと同じような広い視野や影響力を手にするための意識的なプロセスが必要である。

 (中略)加えてこれは、対立する利害や立場、懸念、影響力の源泉、問題の別の観点からの意味づけなどを考えることでもある。交渉には規律と行動が必要だ。つまり、人々は問題が展開するプロセスに関与しなくてはならない。
 怒りを感じたらいきなり条件反射で感情をぶちまけるのではなく、一旦深呼吸して今起こっていることをよく観察し、多少なりとも時間を稼いで本質的な解決策を導くよう精神をコントロールすることが必要と言える。

 仕事のフラストレーションが溜まって爆発寸前の人たちにこの本を読む時間的余裕があるのかどうかちょっと疑わしいが、もし何かのきっかけでこの本を見つけたら、頭と心を整理するためにも是非一度読んでほしいと思う。1回の不満爆発でキャリアが台無しになるとしたら、それはあまりにもったいないことだ。

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