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May 27, 2010
21世紀の経営に必要なのは「OR」から「AND」への発想転換(2)
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(その1からの続き)
変革型リーダーシップとEQリーダーシップ
マネジメントとリーダーシップの関係についてはその1で述べたが、リーダーシップの中でも二項対立は存在する。それはリーダーシップのスタイルをめぐるものである。ジョン・コッターが唱える「変革型リーダーシップ」においては、リーダーはマクロ的・全社的な視点に立ち、トップダウンで変革を強力に推進する。これに対して、ダニエル・ゴールマンが提唱したEQ(心の知能指数)をベースとする「EQリーダーシップ」は、リーダーとフォロワーの個々の関係に着目しているという点でミクロ的であり、ボトムアップ的でもある。
変革型リーダーシップから見れば、EQリーダーシップは「木を見て森を見ず」のスタイルに映り、逆にEQリーダーシップから見れば、変革型リーダーシップは「森を見て気を見ず」のスタイルに映る。しかし、本当にリーダーシップが機能している企業では、両者がうまくお互いを補完し合っている。かつてのGEの目覚しい成長を見ると、ジャック・ウェルチのカリスマ的リーダーシップばかりに目が奪われるが、ウェルチは現場のリーダー育成ことに時間を惜しまなかったことを忘れてはならない。ワークアウトやシックスシグマは、単にGEの生産性を上げるためだけではなく、組織の隅々に多数のリーダーを輩出するプログラムとしても機能していたのである。
中央集権型組織と分権型組織
20世紀の初頭、企業が組織をデザインするにあたって参考にしたのは軍隊であった。軍隊は言わずと知れた中央集権型の組織であり、企業もそれに倣って階層や権限、指揮命令系統を定めていった。
ところが、ドラッカーが1940年代にGMを研究し、著書『企業とは何か−その社会的な使命』の中で、GMが「分権型組織」によって成功していることを指摘して以来、長年にわたって「分権型」を推す経営学者やコンサルタントが次々と登場してきた(チャールズ・ハンディ、トム・ピーターズなど)。さらにIT革命が起こって、成功している多くのIT企業がオープン・ネットワーク型の組織形態で運営されていることが解ると、外部の組織も含めて「分権型」でマネジメントすることが望ましいとされるようになった。
だが、「中央集権型組織」も「分権型組織」も、一方に偏ることはリスキーである。完全な中央集権型組織は、一部の人間の頭脳に組織の未来の全てが託されており、彼らが一歩間違えれば一瞬にして組織が崩壊する。他方、完全な分権型組織は方向性を見失いやすく、各組織が好き勝手に活動するために業務プロセスが煩雑化し、経営資源を浪費してしまう。
オリ・ブラフマン、ロッド・A・ベックストロームの著書『ヒトデはクモよりなぜ強い−21世紀はリーダーなき組織が勝つ』の中では、ナップスター、トヨタ工場、そしてアルカイダなどを例に、「分権型組織」のメリットが多数挙げられている。しかし、2人の著者は、現実の企業経営においては、両者を融合させることが重要だと結論づけている。Googleはその好例だ。Googleの研究開発は分権型で進められる。世界中で様々なプロジェクトが自発的に発生しており、星の数ほどのテストサービスの中から生き残ったものが晴れて世に送り出される。
他方、Googleの人事は中央集権型である。アメリカの企業では各事業部が採用権を持っていることも珍しくないのだが、Google本社の人事部が採用に注ぐエネルギーは尋常ではない。人事部は採用のプロフェッショナルを多数抱えており、彼らは年がら年中アメリカの大学を飛び回って優秀な学生を血眼になって探しているという(もっとも、その採用部門もリーマンショック以降はさすがに縮小せざるを得なかったが)。
A Case Study of Google Recruiting - ERE.net
The Google Recruiting Machine Rolls On With Google’s College Ambassador Program - ERE.net
(その3へ続く)
変革型リーダーシップとEQリーダーシップ
マネジメントとリーダーシップの関係についてはその1で述べたが、リーダーシップの中でも二項対立は存在する。それはリーダーシップのスタイルをめぐるものである。ジョン・コッターが唱える「変革型リーダーシップ」においては、リーダーはマクロ的・全社的な視点に立ち、トップダウンで変革を強力に推進する。これに対して、ダニエル・ゴールマンが提唱したEQ(心の知能指数)をベースとする「EQリーダーシップ」は、リーダーとフォロワーの個々の関係に着目しているという点でミクロ的であり、ボトムアップ的でもある。
変革型リーダーシップから見れば、EQリーダーシップは「木を見て森を見ず」のスタイルに映り、逆にEQリーダーシップから見れば、変革型リーダーシップは「森を見て気を見ず」のスタイルに映る。しかし、本当にリーダーシップが機能している企業では、両者がうまくお互いを補完し合っている。かつてのGEの目覚しい成長を見ると、ジャック・ウェルチのカリスマ的リーダーシップばかりに目が奪われるが、ウェルチは現場のリーダー育成ことに時間を惜しまなかったことを忘れてはならない。ワークアウトやシックスシグマは、単にGEの生産性を上げるためだけではなく、組織の隅々に多数のリーダーを輩出するプログラムとしても機能していたのである。
posted by Amazon360
中央集権型組織と分権型組織
20世紀の初頭、企業が組織をデザインするにあたって参考にしたのは軍隊であった。軍隊は言わずと知れた中央集権型の組織であり、企業もそれに倣って階層や権限、指揮命令系統を定めていった。
ところが、ドラッカーが1940年代にGMを研究し、著書『企業とは何か−その社会的な使命』の中で、GMが「分権型組織」によって成功していることを指摘して以来、長年にわたって「分権型」を推す経営学者やコンサルタントが次々と登場してきた(チャールズ・ハンディ、トム・ピーターズなど)。さらにIT革命が起こって、成功している多くのIT企業がオープン・ネットワーク型の組織形態で運営されていることが解ると、外部の組織も含めて「分権型」でマネジメントすることが望ましいとされるようになった。
だが、「中央集権型組織」も「分権型組織」も、一方に偏ることはリスキーである。完全な中央集権型組織は、一部の人間の頭脳に組織の未来の全てが託されており、彼らが一歩間違えれば一瞬にして組織が崩壊する。他方、完全な分権型組織は方向性を見失いやすく、各組織が好き勝手に活動するために業務プロセスが煩雑化し、経営資源を浪費してしまう。
オリ・ブラフマン、ロッド・A・ベックストロームの著書『ヒトデはクモよりなぜ強い−21世紀はリーダーなき組織が勝つ』の中では、ナップスター、トヨタ工場、そしてアルカイダなどを例に、「分権型組織」のメリットが多数挙げられている。しかし、2人の著者は、現実の企業経営においては、両者を融合させることが重要だと結論づけている。Googleはその好例だ。Googleの研究開発は分権型で進められる。世界中で様々なプロジェクトが自発的に発生しており、星の数ほどのテストサービスの中から生き残ったものが晴れて世に送り出される。
他方、Googleの人事は中央集権型である。アメリカの企業では各事業部が採用権を持っていることも珍しくないのだが、Google本社の人事部が採用に注ぐエネルギーは尋常ではない。人事部は採用のプロフェッショナルを多数抱えており、彼らは年がら年中アメリカの大学を飛び回って優秀な学生を血眼になって探しているという(もっとも、その採用部門もリーマンショック以降はさすがに縮小せざるを得なかったが)。
A Case Study of Google Recruiting - ERE.net
The Google Recruiting Machine Rolls On With Google’s College Ambassador Program - ERE.net
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(その3へ続く)
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