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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
May 15, 2010

電子書籍の洗礼を思いっきり受けたよ(涙)−『緊急提言 普天間基地圏外移設案』

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緊急発言普天間基地圏外移設案 混迷を続ける普天間基地移設問題に対し、朝日新聞社が「緊急発言 普天間基地圏外移設案」(大澤真幸)という電子書籍を5/14(金)に出版した。有料版の提供に先立って、5/11(月)の正午から「先着1,000名無料ダウンロード」というサービスをやるというので、アクセス混雑をかいくぐって無料PDFのゲットに成功した。

 が、私はKindleなどの端末を持っていないので、結局印刷して読むことに(汗)。まぁ、それも1つの洗礼なのだが、書籍(といっても、実際は数十ページの小冊子)の内容にがっかりした。

 著者の大澤真幸氏は「沖縄米軍基地の軍事上の必要性」についても、「日本国内の米軍基地に対するアメリカの世論」についても十分な情報を持っていない。そのことは著者自身も認めている。その上で基地のことを論じているのだから、何とも頼りない限りである。

 私なりにこの本の内容をまとめるならば、「とりあえず沖縄も徳之島も嫌がっているし、それをグアムに持っていったって同じように嫌がられるだけだから、ここはいっそのこと『日本に普天間基地は要らない』と騒ごう。そうすれば、アメリカだって同盟国である日本の世論を無視できなくなるはずだ」ということになる。タイトルの「圏外移設」とはつまり、「普天間基地そのものをなくしてしまう」ことを意味している。

 それで解決するんだったら、この問題はとっくに解決しているよ。でも、この問題は変数が多すぎて複雑だから困っているんじゃないか。緊急出版なので多少中身が粗いことは覚悟していたが、著者は社会学者なんだから、少なくとも変数を紐解く努力ぐらいはしてほしいものだ。

 話は電子書籍の一般論に変わるが、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は最新の著書『電子書籍の衝撃』の中で、電子書籍はこれまでの出版のあり方をがらりと変えると述べた。書き手<<<出版社のパワーバランスが崩れ、誰もがローリスクで自由に書籍を出版できるようになる時代が来るのである。

佐々木 俊尚
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2010-04-15
おすすめ平均:
状況はよくわかるのだが
本に関する概念が変わる時代の為に読んでおきたい一冊
タイムリーに出た警世の書
posted by Amazon360

 だが、これは1つの危険をはらんでいる。それは、これまで埋もれていた良書が電子書籍によって発掘される一方で、その良書の数を上回る駄本が多数出回るという事態である。インターネットの登場によって様々な情報に触れる機会が増えたのと同時に、どうしようもないゴミみたいな情報も大量に読まなければならなくなったのと同じである。

 本書は、少なくとも私にとっては駄本の部類であった。そういう意味で、電子書籍の洗礼を思いっきり受けてしまったのである。
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コメント

該当記事、拝読しました。
出版のコストが下がる事は、やもすれば粗製濫造に繋がりかねないという危惧には同意します。現実にゲーム開発が容易になった80年代、アタリショックと言うものが起きましたしね。

それにしても内容が稚拙に過ぎますね。
「とりあえず騒げば同盟国は動いてくれるはず」なんて、交渉のプロセスも抜きにした
ただの感情論では無いですか。

問題に対して不勉強と言う点も頂けませんね。私なんかは問題解決には周辺の状況を解きほぐすために事実関係をはっきりと勉強しておかなければいけないと考える手合いなので。
また、不勉強であってもそれなりに論の立て方はあったのに、それすらも無いとは、いやはや、レビューお疲れ様です。

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