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April 22, 2010

「社員の7割が障害者」日本理化学工業・大山泰弘会長のインタビューに感動

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 Twitterで「この本に感動した」という人がいて気になったので、大山泰弘会長のことを調べてみたら、WEDGEのインタビュー記事を見つけた。
 「人様の役に立つそれが働くことの醍醐味

大山 泰弘
WAVE出版
2009-07-23
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 チョークメーカーである日本理化学工業は障害者雇用に力を入れていることで有名であり、川崎工場は国の心身障害者多数雇用モデル工場1号にも指定されている。しかし、大山会長は初めから障害者雇用に積極的だったわけではない。
 「59年に、知的障害者の通う養護学校の先生が飛び込んできました。聞けば、翌年卒業する子の就職依頼でした。僕は門前払いのような感じでお断りしました」
 今週書いた2本の記事「入社後3年目までのキャリア開発−仕事の仕組みを知り、自分の得手・不得手を見極める」、「入社後4年目からのキャリア開発−内発的動機を育て、仕事に自分色を加える」で私が伝えたかったのは、ビジネスパーソンのキャリア開発は、最初から自分がやりたいとか得意だと思う仕事(=内発的動機による仕事)に固執するのではなく、むしろ初期段階では「上司・同僚といい関係を築きたい」とか、「周囲の期待に応えたい」、「少しでも早く昇進・昇給したい」といった外発的動機に振り回されるぐらいの方がちょうどよいということ、そして、そうやってもがいている中でおぼろげながら見えてくる自分の本当の強みや関心に磨きをかけて、徐々に内発的動機のウェイトを高めていくのが大切だということである。

 インタビュー記事を読むと、日本理化学工業の社員も大山会長自身も、最初は外発的動機から入って、次第に内発的動機が芽生えていくプロセスが読み取れる。
 今ではチョーク製造で3割超の国内シェアを持つが、病気がちの父を手伝う格好で大山が入社した1956年には、社員十数人の小さな会社だった。教師か弁護士になりたかった大山青年は、渋々という感じで家業を継ぎ、専務として働いていた。
 大山会長は、父の病気のために自分の夢を断念し、やむを得ず日本理化学工業に入社したようだ。この段階では、内発的動機を捨てて、外発的動機(=父からの期待に応える)によって動かされていたと言ってよいだろう。そしてその3年後に、先ほどの養護学校の先生がやってくる。ここでもまた先生の根気に負ける形で(=外発的動機づけによって)、渋々了承している。
 その先生は大山を3回訪ねた。最後は『子どもたちは卒業したら地方の施設に入ります。そうしたら働くことを知らずに一生を終えます。もう就職はお願いしませんから、働く経験だけさせてもらえませんか』と食い下がった。不憫に思った大山は、2週間の約束で実習を受け入れた。
 おそらく社員も、障害者を受け入れることに乗り気だったわけではないだろう。しかし、2週間の実習を終えた社員は意外なことを口にする。
 やってきた2人の少女は2週間、一心不乱にラベル貼りをした。昼休みのチャイムにも気づかなかった。

 「障害者だからチャイムがわからないって見方もあるでしょう。でも、ウチの社員たちは彼女たちの姿に打たれて、実習の最終日に『私たちが面倒を見てあげるから、専務さん、雇っていいじゃないですか』と僕に言うんです」
 障害者に仕事を教えながら自分の仕事をこなすのは並大抵のことではないはずだ。それでも社員たちは、真剣に仕事に取り組む障害者の姿に感銘を受け、彼らが仕事をしやすいように作業方法や業務の流れを改善し、彼らに合ったトレーニングを行うようになる。まさに、外発的動機と内発的動機が好循環を生み出し始めた瞬間である。
 健常者の社員もまた、一生懸命な知的障害の社員に接していると、彼らの役に立とうという気持ちが生まれ、それが働く喜びになっているという。「一生懸命に教えてあげる。純粋な彼ら(知的障害者)がちゃんと身につけて成長する。それを目の当たりにするのは、やはりうれしいようです」
 「入社後4年目からのキャリア開発−内発的動機を育て、仕事に自分色を加える」の中で、内発的動機は移ろいやすいものでもあるから、最終的には究極の内発的動機である「仕事の使命」と正面から向き合うことが重要であるとも書いた。大山会長は経営者の立場として、会社の使命と自分自身の仕事の使命をリンクさせて考えるようになっていく。そのきっかけをくれたのは、法事で隣に座った禅僧の言葉であった。
 「そのお坊さんは『人間の究極の幸せは、愛されること、褒められること、役に立つこと、人に必要とされることの4つです。愛されること以外は、働いてこそ得られます』と言われた。それで気づいたんです。人間の幸せをかなえられるのが会社なら、知的障害者を一人でも多く雇用しようと考えるようになりました」
 こうして現在では、障害者が実に社員の7割を占めるまでになっている。大山会長は、「人間は誰しも他者とのつながりの中で相手の役に立ちたいと思っている」という人間の本質に気づき、それを最大限に引き出す環境を作ることが会社そして自分自身の使命であると考えている。次の言葉は、大山会長が障害者と本当に真摯に向き合っていることをうかがわせるもので、心を動かされる。
 「知的障害者は正直であるがゆえに、口先だけの社員の言うことは聞きません。いくら叱っても、自分のために言ってくれていることには、彼らは鋭いですよ。だからわれわれも、本当に彼のことを思って声をかけているか、気をつけているかが問われてしまいます。ある意味では、現実離れした話に聞こえるかもしれません。でも、それが本来の人間だということを、今の人は自覚しなければいけないと思いますよ」

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