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February 24, 2010

何だかんだで楽観的なアメリカ人と、パニック状態の日本人−『経済の新秩序(DHBR2009年11月号)』

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 タイトルから察しがつくように、金融危機後の世界経済の方向性について論じた特集。読んでいて特に印象深かった(というか驚かされた)のは、ニーアル・ファガーソンの「2013年のアメリカ」という論文。

 過去の金融史を参考に、3年後の未来を予測しているのだが、「アメリカの実質成長率が予想に反して1%台に落ち込む」とか、「アメリカ国債の買い手がいなくなって金利が値上がりし、激しいインフレが起こる」といったネガティブなシナリオが描かれている一方で、「ドルに代わる基軸通貨は存在せず(IMFが提唱するSDR[特別引出権]への移行は困難である)、アメリカは世界経済において依然として影響力を持つ」とか、「世界各国で経済危機に端を発する政治不安が頻発すれば、実はアメリカが最も安全な国家であることが示されるであろう」といった非常に楽観的なシナリオも併記されている(後者のシナリオは、あまりにポジティブだったためにびっくりしてしまった)。

 こうしたアメリカのポジティブさは一種の国民性なのかもしれない。リーマン・ショックの直後にアメリカなどを訪問したある中小企業の社長が、「アメリカ人は皆、『何とかなるよ』と言っていた。中国人もシンガポール人も意外と冷静に受け止めているみたいだ」と言っていたのを思い出した。実際、サブプライム問題の震源地であるアメリカは、何だかんだ言って実需が回復傾向にあるのに対し、当初サブプライム問題の影響はあまり受けないであろうと言われていた日本が現在、需要増の見込めないデフレ経済に引きずり込まれている(ヨーロッパはギリシャの財政危機があるので、また別の問題を抱えているわけだが)。

 今や多くの日本人は、出口が見えない経済状況の中で非常に悲観的になっているように思える。トヨタのリコール問題もあって、経済面の明るいニュースをすっかり耳にしなくなった。その経済を後押しするはずの政治に目を向けても、「政治とカネ」の問題にほとんどの時間が費やされ、肝心の経済・財政政策や雇用対策の議論は棚上げ状態になっている。ガス抜き程度に提供される明るい話題と言えば、10代や20代の若いアスリートが世界で活躍する姿ぐらいである。こんなのははっきり言って異常だ。政治家とマスコミがグルになって国民を愚民にしようとしているのではないか?と思うほどである。

 そんなグルに惑わされた国民は、自民党がダメだから民主党に投票して政権交代を実現させたにもかかわらず、早くも最近の地方選で民主党離れを起こしているぐらいであり、国民の判断軸もブレブレ状態なのである。

 個人的には、アメリカ人のポジティブさを見習おうとは思わない。悲観的な気持ちを跳ね除けて前進するパワーに変えることができることを知っているからだ。だが、今の私たちは悲観的である上に混乱している。もう少し冷静になって、1人ひとりが企業の中で、あるいは政治に対してどうすればいいのか考えた方がいい気がするなぁ。
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