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February 14, 2010

孤独と闘う「準備ルーチン」が創造性を生む

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 「良質の『準備ルーチン』は創造性を生む」、「良質の『準備ルーチン』は創造性を生む(補足)」という2つの記事で、「準備ルーチン」についていろいろと見てきたが、良質の「準備ルーチン」には「業務外(本番以外)で行われる」という点以外に何か共通点はないのだろうか?

 準備ルーチンの中には、菅野寛氏の「エモーショナル・メッセージの記述」ように、特定スキルの習得にフォーカスが絞られた明確な目的を持つものもあれば、立命館小学校のモジュールタイムのように、それ自体は知識の習得を目的としないものもある。また、松下幸之助の「素直な心を持つための祈り」などは、本業との関連も薄く抽象的な行為である。だから、目的の明確さや本業との関連性はあまり重要でないように思える。

 それよりも注目すべきもう1つの共通点は、良質の準備ルーチンは「1人で行われる」という点である(モジュールタイムは学級全員がやっているが、やっている行為自体は個々人に完全に委ねられている)。昨日紹介した村山昇著『ぶれない「自分の仕事観」をつくるキーワード80』を読んでいたら、アン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈物』に次のような一節があることを知った。
 我々が一人でいる時というのは、我々の一生のうちで極めて重要な役割を果たすものなのである。或る種の力は、我々が一人でいる時だけにしか湧いてこないものであって、芸術家は創造するために、文筆家は考えを練るために、音楽家は作曲するために、そして聖者は祈るために一人にならなければならない。

 しかし女にとっては、自分というものの本質を再び見いだすために一人になる必要があるので、その時に見いだした自分というものが、女のいろいろな複雑な人間関係の、なくてはならない中心になるのである。女はチャールズ・モーガンが言う、『回転している車の軸が不動であるのと同様に、精神と肉体の活動のうちに不動である魂の静寂』を得なければならない。

アン・モロウ・リンドバーグ
新潮社
1967-07
おすすめ平均:
ああ、なんという
一歩を踏み出す勇気があれば!
現代社会において忘れがちなことを思い出させてくれる
posted by Amazon360

 後半の女性に関する記述は、男性にも当てはまると思う。創造的な作品は1人だけでは完成させることができないが、基となる創造的なアイデアは1人で思索する時間から生まれるものだ、ということをリンドバーグは言いたいのだろう。

 どこの研究だったか忘れてしまったが(記憶違いならご容赦いただきたい)、日本とアメリカの経営者の時間の使い方を調べた研究があって、アメリカの経営者は日本の経営者よりも1人で考える時間が長いことが明らかになったという。もっとも、この調査結果だけを見て「日本の経営者よりもアメリカの経営者の方が創造的だ」と言うつもりは毛頭ないし、日本が合意による意思決定を重視するのに対し、アメリカはトップの決断に頼るケースが多いという文化的背景の違いもある。

 ただ、合意による意思決定がうまくいくのは、1人1人が確固たる意見を持っており、それらが衝突し揉まれる中で新たなアイデアに至る場合だ。発言力の強い人間がいたり、他人の意見に流されやすいフリーライダー的存在が混じっていたりすると、いわゆる「グループシンキング」の罠にはまってしまう。各人が確固たる意見を持つためには、意思決定の前に1人で考えをまとめる時間を持つ必要があると思うのである。1人で思索にふける「準備ルーチン」を持つ経営者は、真っ当な意思決定に到達できる確率が高いのではないだろうか?

 「準備ルーチン」を1人で黙々とこなす中で、集中力が増し、神経が研ぎ澄まされ、感度が高くなる。すると、通常の人ならば見過ごしてしまうような情報やサインをキャッチできるようになり、それが創造的なアイデアにつながるのかもしれない。良質の準備ルーチンとは、孤独と闘う準備ルーチンでもあると言えそうだ。
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