※2012年12月1日より新ブログに移行しました。自分で言うのもおこがましいですが、20代の頃に書いた本ブログよりも、30代に入ってから書いている現行ブログの方がはるかに中身が濃く、内容が多岐にわたり、面白いと思いますので、是非ご覧いただけるとありがたいです!
>>>現行ブログ free to write WHATEVER I like
January 31, 2010

トヨタの「7つのムダ」を自分の仕事に置き換えて考えてみた

拍手してくれたら嬉しいな⇒
 「トヨタ生産方式」の生みの親である大野耐一を特集したDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2010年1月号はかなり読み応えがあった。

posted by Amazon360

 書評は別の機会に書こうと思うが、今日の記事ではトヨタの「7つのムダ」に触れてみたい。大野耐一は次の7つを付加価値を生まない無駄だと考え、徹底的に製造現場から排除することに努めていた。
「つくりすぎのムダ」
 在庫の山に費用をかけぬよう必要以上につくらない。

「手待ちのムダ」
 作業量の改善、あるいは従業員の弾力的利用と汎用設備の利用によって、待ち時間と機械の遊び時間をなくする。

「運搬のムダ」
 資材の不必要な取り扱いをなくするように作業場のレイアウトと流れを計画する。

「加工そのもののムダ」
 やり方に疑問を持つ。それは必要か。それが望ましい結果にどんな価値をつけ加えるのか。

「在庫のムダ」
 在庫の山をなくすため在庫のジャスト・イン・タイム管理を用いる。

「動作のムダ」
 動作が単純化できずより経済的にならないなら自動化する。

「不良をつくるムダ」
 品質管理と故障に対する安全策を実施する。
(ダニエル・A・レン他「大野耐一:ものづくりの求道者」、オリジナル版は大野耐一著『トヨタ生産方式』[ダイヤモンド社、1978年])
 「つくりすぎのムダ」と「在庫のムダ」は似ているので少し補足すると、「つくりすぎのムダ」とは生産ラインの稼働率を上げることを重視しすぎるあまりに、まだ必要ではない部品や半製品を余分に生産してしまう無駄を指す。見かけ上は稼働率が上がるため生産性が向上したかのように錯覚してしまうが、結局は無駄な在庫を生み出しているだけで価値がない。しかもタチが悪いことに、生産ラインは一応動いているのだから、見かけ上は無駄があるようには思えない。大野耐一は「7つのムダ」の中でも、この「つくりすぎのムダ」を最も嫌ったという。

 トヨタを初めとする製造業の改善に比べると、ホワイトカラーの改善はめちゃくちゃ甘いのではないか?という疑問が私の中にはある。かつて京セラからソフトウェア開発に転職した人の講演を聞く機会があったのだが、その方はソフトウェア開発現場の非効率さに最初は驚いたという。「京セラの工場では各工程の標準作業がきっちり定められていて、右腕の角度と動かす距離まで決まっているというのに、ソフトウェア開発は各社員がどんな作業をしているのかが全く解らない。キーボードを打つ手を止めてボーっとしている開発者は、次のソースコードを考えているのか、単にサボっているだけなのかさえも見分けがつかない」と嘆いていたのを今でもよく覚えている。

 私が勤めている会社は、主に人事向けのコンサルティングや研修サービスを提供しており、典型的なホワイトカラーの集まりである。そんな自社の仕事を「7つのムダ」の視点で振り返ってみると、やっぱり無駄が多いなぁと思えてくる。

「つくりすぎのムダ」
 コンサルティングや研修サービスは知識集約型であると同時に労働集約型のビジネスであり、基本的には社員が稼働すればするほど売上が上がるビジネスモデルだ。だが、案件数の波というのは当然あるわけで、あまり仕事がない時期もある。しかし、暇な社員を放っておくわけにもいかないので、いつどの顧客のために使うとも知れないリサーチや資料作成を頼んでしまうことがある。

 見かけ上は皆忙しそうに働いているので、そこそこ毎月の売上が立っているのだろうなと思ってふたを開けてみると、予想と全然違う実績値が出てきて焦ったことが過去に何度もある。これが見せかけの稼働率の恐さである。大野耐一だったら「仕事がないなら遊んでいろ」と一喝したかもしれない。

「手待ちのムダ」
 ホワイトカラーの仕事の管理は何が難しいかと言うと、各社員のタスクの進捗が見えないため、誰が今手待ちの状態なのかが非常に解りづらいということだ。とはいえ、定型的な業務プロセスばかりではないため、各社員の手待ちがなくなるようにタスクを標準化して同期をとるのも困難である。だから、知らず知らずのうちに「手待ちのムダ」がたくさん発生している可能性が高い。何かいい方法はないものかといつも考えてしまう。

 それから、手待ちのムダが発生しやすいのは何といっても会議である。会議に上司が参加しており、その終了後に指示を仰いだり相談を持ちかけたりしようと考えていた部下は、会議が延長すると手待ち状態になってしまう。部下のスケジュールは上司の会議によって左右されているのだ。こういうこともあるから、会議は時間通りに終わるように事前にきちんと準備を行い、落としどころを明確にした上で開催しなければならない。これは会議の主催者の責任である。

「運搬のムダ」
 オフィスのレイアウトや備品の配置などは本当に重要だと思う。工場のレイアウトが整然としているのに比べると、オフィスのレイアウトはかなりお粗末な気がする。本来であればコピー機1つとってもどこに置くのが最も合理的なのかを考えてしかるべきである。

 先日も顧客向けの資料をクリップで留めようとしたら、複雑な導線をたどって事務用品置き場に出向き、クリップの入った箱を持ってデスクに戻る自分がばかばかしくなった。さすがにクリップぐらいは自分の机に常備しておくべきだと思った。しかも、クリップの箱の中に、誰が入れたのか知らないが先が曲がって使えないクリップが混じっており、それを取り除くのに余計な手間がかかる。そんな無駄を積み重ねたら、かなりの時間になるんだろうなぁ。

「加工そのもののムダ」
 仕事柄、パワーポイントで資料を作ることが多い。この時に最も陥りやすいのが、「色の使いすぎ」である。色を使うと確かに綺麗な資料に仕上がるから、顧客に対するインパクトは高まる。だが、何色を使うのかを考えている時間がそもそも無駄であるし、顧客も資料の綺麗さに惑わされて重要な点の確認を怠ることがある。そうすると、後になって顧客から要件のモレを指摘されるハメになる(これは決して顧客を責めているのではない。そういう資料を作ってしまった人間が悪い)。

 私自身の理想は「完全モノクロで資料を作ること」である。モノクロの資料はちゃんと読まないと内容が理解できないので、作成者も顧客も真剣に議論しようとする。それにカラーコピーが必要ないので、コスト削減にもつながる。しかしながら、これはなかなかハードルが高い。私の会社に、完全にモノクロでコンサルティングの提案書や報告書を作成できるコンサルタントが1人だけいるのだが、その境地に達するのはいつのことやら・・・。

「在庫のムダ」
 ホワイトカラーの在庫は目に見えないからこれまた困ってしまう。誰かが仕事を止めているため(=タスクという在庫を溜め込んでいるため)、その人の成果物を必要とする別の人が作業に取り掛かれないという事態はしばしば発生する。To-Doリストを作って自分の中ではタスクを管理しているつもりでも、その優先順位づけが独り善がりで、他人のスケジュールを考慮しないのであれば失格である。

 よくある「重要度×優先度」のマトリックスでタスクに優先順位をつけるのも結構だが、それぞれのタスクに対して「このタスクによって生まれる成果物を必要としているのは誰か?」、「その人はいつその成果物を必要としているのか?(明日までといったアバウトな期限ではなく、もっと具体的な時間帯のレベルで考える)」といった問いを投げかけてみるべきかもしれない。

「動作のムダ」
 今の会社に入った時に、パワーポイントとエクセルのショートカットは先輩からかなり教わった。ショートカットが使えるのとそうでないのとでは、おそらく効率が20%ぐらい違うのではないか?つまり、10時間の仕事も8時間でできるようになる。おかげで資料作成はだいぶ早くなったと思う。日常的に必要な作業のほとんどは、マウスでメニューを選択することなしにショートカットで対応できる。

 私の先輩は、暇な時間にShiftキーやCtrlキーを押さえたまま、キーボード上の文字を上段から1つずつ押していってショートカットを見つけたと自慢していた。

「不良をつくるムダ」
 基本的にコンサルティングサービスは一品モノを作る受注生産みたいなものだし、研修も各企業のニーズに合わせてカスタマイズすることが多い。そのため、成果物の品質管理は非常に難しい。社内でOKと思ってクライアントに提示してもNGを食らうことだってある。品質の可否を決めるのはそれぞれの顧客であるから、顧客の要望を明確にし、その基準をクリアするためのタスク管理が欠かせない。しかも、顧客は全ての要望を口にするわけではないから、ある程度推測で要望を詰めなければならないこともある。この辺りは暗黙知の世界であり、悩みが深いところだ。

 さらに悩みを深くするのは、こうして顧客ごとに仕様を合わせていくと、いろんな成果物が作成されることになるから、「会社としてはここは標準だ」という基本部分を見失いがちになる。統一された基盤の上にカスタマイズを施さないと、あっという間に品質はばらついてしまう。

 いやぁ、振り返っていくうちにあまりの無駄の多さでげんなりしてきた。1個1個改善していかなければなぁ。

おススメの書籍

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:

コメントする