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January 12, 2010

良質の「準備ルーチン」は創造性を生む

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 「認知限界」などの概念を生み出し、意思決定理論に大きな影響を与えたアメリカの認知学者ハーバード・サイモンは、「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則を組織に応用して、「ルーチンは創造性を駆逐する」と述べた(「計画のグレシャムの法則」)。人は日常のルーチン業務ばかりに追われていると、長期的かつ重要な計画を考えなくなってしまうことを指した言葉である(過去の記事「ルーチンは目的を駆逐する」を参照)。

 だが昨年、「イチローはなぜ、同じ毎日をくり返しているのに未来をつくれるのか」というNTT東日本のCMが頻繁に流れているのを見て、ルーチンが必ずしも創造性を奪うとは限らないのではないか?と思うようになった。ご存知の方も多いかもしれないが、イチローは毎日同じ練習メニューをこなし、試合中もネクストバッターサークルから打席に向かい、バットを構えるまでの一連の動作がいつも全く変わらないと言われている。

 イチローに限らず、一流のアスリートやアーティストの多くは、「10年ルール」という言葉があるように、同じ練習を長期に渡って反復することでプロフェッショナルの座へと上り詰めている。また、ある学者は、毎朝研究室に入ると必ずパソコンに向かい、何でもいいからある程度まとまった量の文章を書くことを習慣化しているという話を以前聞いたことがあるし、テレビ東京の「ソロモン流」を見ていると、賢人の中には定期的な運動を習慣化している人が多いことに気づかされる。

 さらに先日、フジテレビの「エチカの鏡」を見ていたら、京都の立命館小学校の「モジュールタイム」というユニークな取り組みが紹介されていた。1時間目よりも前に、モジュールタイムと呼ばれる15分程度の学習時間が設けてあり、国語や英語の音読、計算などを集中して行う。小学校1年生で平家物語を音読し、小学校6年生になると平家物語を何と暗唱するという衝撃的な映像であった。モジュールタイムは、脳の前頭前野を活性化させ、1日の学習効果を高めるとされている。

 これらのルーチンに共通するのは、業務そのもののルーチンではなく、「準備のルーチン」であるということだ。同じ準備運動を反復することで脳が活性化され、集中力が高まる。それが本番での創造的な結果につながる。だから、良質の「準備ルーチン」であれば、創造性を奪うどころか、むしろ創造性を生み出すことにつながるという考え方もできる。

 では、これをビジネスの世界に活かすことはできないだろうか?企業にも、準備のルーチンに該当する活動はないことはない。例えば朝礼や社訓の唱和がそれに当たる。だが、朝礼において持ち回りで何か話をするルールが皆の心理的負担になっていたり、日常業務の内容と遠く離れた抽象的な社訓をただ読まされたりしているようでは、良質のルーチンとはいえない。

 頼りない見解ではあるが、個々の社員が自分なりの良質の「準備ルーチン」を持つことを職場で奨励することが、今のところ最も無難な策と言えるのかもしれない。そこから一歩進んで、良質な「準備ルーチン」を職場に埋め込み、仕組み化するためにはどうすればよいか、今後も検討を続けたいと思う。
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