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December 16, 2009

異なる立場の人が見ても理解できる資料を作ろう

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 クライアント企業に自社製品を提案したり、社内で新しい企画を立ち上げたりする時には、(大抵はパワーポイントを使って)何らかの資料を作ることになる。読み手の立場に立って解りやすい資料を作れというのは当たり前のことだが、提案書や企画書は組織内の様々な立場の人が目にするから、異なる部署や役職の人が見ても意味が伝わるように注意しなければならない。これはかなり重要かつ難しいことである。

 例えばITベンダーがシステムソリューションを提案する際、その提案書は窓口となる情報システム部門、システムのユーザーとなる業務部門、そして最終的な決裁を下す経営陣の目に触れる。情報システム部門はシステム構成や開発期間、開発・保守の体制に関心があり、業務部門は新システムの使い勝手がいいかどうかや新システム導入後の業務プロセスがどう変わるのかを心配し、経営陣は新システムに対する投資がいつ回収できるのか、端的に言えばそのシステムで利益が増えるのかどうかを考えている。それぞれの疑問に全てもれなく答えられるような提案書を作る力量が、ITベンダーの営業担当者やSEには求められる。

 コンサルティングプロジェクトで事業計画や変革プランをまとめる場合にも、クライアント企業のプロジェクトメンバー向けにはこれまでの検討・分析内容や今後取り組むべき課題の詳細、実行計画と役割分担などをつぶさに記述し、役員向けにはA3で1枚程度のエグゼクティブサマリーをつけることが多い。このように、提案書や企画書は多様な人間が読むものだという前提に立って作成した方がよい。

 逆に、作成した資料が誰の目に触れるものなのかを事前に的確に把握しておかないと、後で痛い目に遭うことがある。かつて、あるクライアント企業の人材開発部で、社員育成のガイドラインを作成するという小規模のコンサルティングをした時のことである。この企業は、中長期的には抜本的な育成体系の見直しを必要としていたのだが、短期的には、上司と部下のコミュニケーション不足により上司が部下のスキルレベルを把握できず、従ってスキルアップの支援もできないという課題に直面していた。

 そこで、上司が部下のスキルレベルを簡易に把握し、定期的に部下の育成計画を立案する仕組みをまとめたガイドラインを人材開発部の担当者と一緒に作成した。小規模のコンサル案件だったということもあって、私はてっきり、この資料は人材開発部の上層部の人だけが見るものだと思っていた。しかし、いつの間にか人材開発部の上層部を飛び越えて、役員の目にも入ってしまったのだ。役員は当然、中長期的な育成体系の見直しに関心があるから、ガイドラインに書かれているような手続き的な話は眼中にない。そのため、「こんな細かいことを議論しろと言った覚えはない。もっと社員育成の全体像を描け」と言われてしまった。正確には私が直接言われたのではなく、役員にガイドラインを説明した人材開発部の担当者がそう言われてしまった。

 私も中長期的な人材育成体系づくりの必要性は知っていたのだから、もっと注意深く資料を作るべきだった。つまり、人材育成体系見直しのロードマップをきちんと描き、今回のガイドラインがそのロードマップの中でどういう位置づけになっているのかを示さなければならなかった。資料の読み手が誰であるかを読み違えたばかりに、クライアント企業の担当者に迷惑をかけてしまったという失敗談である。

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