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November 23, 2009

データは定量/定性の両面から眺めよう

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 組織の現状を把握して問題点を明らかにしようと思ったら、方法は2つしかない。つまり、定量データを入手するか、定性データを入手するかである。だが、どちらか一方で十分ということはまずない。両方のデータをバランスよく分析することが、現状の深い理解につながると思う。

 ある製造業のクライアントで、設計リードタイムの短縮をテーマとしたコンサルティングをした時のことである。設計部門の現状を把握するために、社員の方々にインタビューを行った。すると、「過去の設計情報を探し出すのが困難」、「受注設計の仕様書をチェックするのに時間がかかる」などといった設計業務そのものの非効率さを指摘する声以外に、「設計以外の仕事が多すぎる」という意見がかなり多く聞かれた。

 「顧客のクレーム対応、顧客先での運転指導などのサポートまですることがある」
 「設計図面を見れば解るようなことまで製造現場が電話で問合せてくる」
 「製造ラインで何か問題が起こると、製造現場に呼び出されて対応しなければならない」
 「部品の仕入れが遅れると、設計が製造ラインへの部品の配膳を行うこともある」

 設計部門といいながら、実態は営業も製造もアフターサポートも兼ねているようであった。本来、設計に費やすべき時間が設計以外の業務に奪われてしまい、製品設計のリードタイムに影響を与えているのだろう。だから、解決策としては、設計情報を設計部門⇔製造部門間で柔軟にやり取りするためのシステム改修、サポートセンターの組織体制再構築、部品調達基準・外注業者の見直しなども必要になってくるのかな?と思っていた。

 インタビューが一通り終ったところで、社員の方々がどの業務にどのくらいの時間をかけているのかを1週間調査することにした。インタビューで明らかになった現状業務を細かく分類し、各業務に毎日どれくらいの時間を費やしたのかをアンケート票に記入してもらうことにした。(※)

 インタビューで「設計以外の業務が多すぎる」とさんざん言われていたため、おそらく設計以外の業務がかなりの割合を占めているのだろうと予測していた。だが、アンケートを集計したところ、「設計業務の割合は約80%、設計以外の業務の割合は約20%」という結果だった。

 プロジェクトメンバーの予想よりも、設計以外の業務の割合は少なかったのだ。こうなると話が違ってくる。では、インタビューの時になぜ多くの社員が「設計以外の業務が多すぎる」と発言したのだろうか?ひょっとしたら、設計という創造的で神経を使う仕事に他部門から横槍を入れられると、必要以上に過敏に反応してしまうということなのかもしれない。あるいは、どんな部門でも他部門と依存関係にあるのだから、20%程度の他部門支援業務が発生するのは必然であって、それを必須のタスクと捉えていない設計部門の社員の意識にむしろ問題があるのかもしれない。この辺りは憶測なので、今となっては何とも言えない。

 ただ、業務量調査から言えることは、設計リードタイムを短縮するためには、設計業務そのものにダイレクトにメスを入れた方が効果が大きいということである。最終的にプロジェクト内では、インタビューで多くの指摘はあったものの、設計以外の業務に関しては優先度を下げ、設計そのものの生産性を上げる施策を重点的に検討するという結論に至った。インタビューの結果だけに頼っていたら、あまり重要でない問題にまで闇雲に議論を広げていたかもしれない。

 現状分析そのものが目的なのではなく、問題を解決するための施策を導き出すことが重要であるから、現状把握ばかりにいつまでも時間を費やすことはできない。しかし、時間がないからといって偏ったデータを使うのではなく、できるだけ定量と定性の両面から現状を観察できるように心がけるべきだと思ったエピソードであった。

(※)業務時間分析では、実際にストップウォッチを使って細かく時間を計測することもあるが、この時は厳密な分析というよりも傾向を知ることが目的であったため、アンケートという簡易的な手法を用いた。

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