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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
August 19, 2009

ウェブに続く営業活動も見据えたプロセスを設計しよう−『ウェブ営業力』

拍手してくれたら嬉しいな⇒
株式会社パワーインタラクティブ 渥美 英紀
翔泳社
おすすめ平均:
現代のあるべき会社像を見せる一冊である
“ウェブ営業のいろは”と“発想からクロージングまで”の両方が分かる
WEBサイトの営業機能カタログ
powerd by Amazon360

 さすがマーケティングの本だね(上から目線…)。普通の本だと、「はじめに」のところで想定している読者層に言及したりするものだが、この本では裏表紙にターゲット顧客と想定ニーズがはっきりと書かれている。
こんな悩みを解決します!
□ウェブ問合せに営業担当がなかなか動いてくれない!
□ウェブには自信があるのに狙った顧客から問合せが来ない!
□ウェブにどんなコンテンツを載せればよいのか分からない!
□問合せフォームでどんな設問を聞くべきか知りたい!
■限られた予算でもウェブで出来ることを探したい!
■差別化の難しい商品をウェブで売らなければならない!
■販路が限られておりウェブを活用しきれていない!
□事例が出せずに魅力的なコンテンツがウェブにない!
□集客方法で何から手をつけてよいのか分からない!
□企業サイトのウェブマーケティングの基礎をつかみたい!

こんな人におススメです!
□何回もリニューアルしたが売上げにならなかった経営者
□展示会やルート営業に限界を感じている営業部長
■ウェブと営業をうまく連動したいマーケティング担当者
□ウェブからの売上げを効率的に上げたい営業担当者
□何から手をつけて良いか分からない新任ウェブ担当者
 私は■の部分に当てはまった。その中でも、「ウェブと営業の連動」について最近ちょうどあれこれと考えをめぐらせていたところだったので、読んでみた。

法人営業はウェブだけで完結しない
 企業サイトのインパクトと重要性は今さら言うまでもない。しかし、BtoBの企業の場合(研修やコンサルティングを行っている私の会社もしかり)、ウェブだけで受注ができない点がBtoCのECサイトと決定的に異なる。ウェブサイトでできることと言えば、「資料請求」や「問合せ」といった名目でリード顧客を作るところまでである。そこからは営業担当者の世界であり、リード顧客を訪問して商談を発掘し、提案書や見積書を作成して顧客の購買意思決定を促すのは営業担当者の役割だ。

 となれば、当然ウェブサイトだけを最適化すればいいというわけにはいかず、ウェブと営業を一体として捉える必要がある。
 ウェブサイトからの受注を伸ばしたいと思うとき、一般的にはウェブサイトのリニューアルやSEO対策などを想像する人が多いと思います。しかし、それらは営業力活性化の観点からすれば一部であって全体ではありません。まずは受注までのストーリーを見越した全体像の把握が必要となります。全体像を見渡し、ブロックを分けて考えることで、課題と対策が明確になってきます。
 ここで「受注までのストーリー」と言っているのがこれ。
Web営業プロセス

(※同書を基に作成)
 受注までのステップは大きく分けて、「集客」「コンテンツ」「営業フック」「訪問・提案」「受注」の5つのプロセスで整理することができます。SEO対策やリスティング広告では主に「集客」のプロセスにしかインパクトを与えることができません。ウェブサイトリニューアルでは、主に「コンテンツ」、及び問合せやアドレスを獲得するための「営業フック」の2つのプロセスにしかインパクトを与えることができません。さらに、ウェブサイトから営業に引渡し、「訪問・提案」を行なって「受注」に繋がります。仮に広告とリニューアルがうまくいったとしても、営業と連係をとり効果的な提案ができなければ受注にはなりません。だからこそ、今一度受注までの流れを振り返り、各プロセスにおいてパフォーマンスをアップさせる策を練る必要があります。
 受注までには5つのプロセスがあることを認識した上で、

 ・それぞれのプロセスにおいて顧客が何を知りたがっているのか?
 ・次のステップに進むためには顧客のどんなニーズが満たされ、どんな障害が取り除かれる必要があるのか?

を十分に分析する必要がある。その結果を踏まえて、各プロセスで提供する情報やツールを整備しなければならない。これはマーケティング担当者と営業担当者の協力なしにはできないことだ。

ウェブがリッチすぎると、営業担当者がショボく見えるというジレンマ
 法人営業は最初のコンタクトから受注までに時間のかかる長いプロセスである。売り手は顧客が知りたがっている情報を一つ一つ丁寧に紐解き、それに対して適切な情報を提供する。この繰り返しで営業活動は進んでいく。当たり前だが、受注までのプロセスが進むに従って顧客が知りうる情報は増えていく。先ほどの図を見ながら私が思ったのは、「各プロセスで提供する情報は、プロセスの後半になればなるほど増えていくように設計しなければならない」ということだ。

 この情報量のバランスを誤ると、とんでもないことになる。ウェブで問合せをして営業担当者に来てもらったら、ウェブの内容をコピーしたような提案書を持ってきたとか、ウェブで資料請求をしたら、届いた製品パンフレットの内容がウェブよりもしょぼかった、というのはよくある話だと思う。とりわけ、先走ってウェブであれもこれも情報提供しようとすると、こうした罠にはまる危険性は高くなる。ウェブだけをリッチにすればいいというわけではないのだ。かといって、あまりに簡素化してしまうと何も伝わらないウェブになってしまう。後に続く営業活動を見据えながら、ウェブコンテンツの量と内容を最適化することがマーケティング担当者には求められる。そして、ウェブに続く営業活動において、営業担当者が顧客の期待に応えられる情報を提供できるよう、必要なツールやサポートを用意することもマーケティング担当者の重要な仕事である。

 ウェブがリッチであることを堂々と宣言している企業は、自社の営業担当者がウェブ以上に強力で有益な情報を顧客に対して提供できることを約束していることになる。この本にはたくさんの事例が紹介されているが、中でも印象的だったのはIBMの事例だ。ウェブ訪問者が自社の課題を選択し、導入時期や導入予定人数(ソリューション対象人数)などのシステム導入条件を指定すると、自社に合ったソリューションや料金例が記載された提案書が自動的に作成される。課題や導入条件もかなり細かく指定することができる。(※)

http://www-06.ibm.com/jp/press/20061130001.html

 通常であれば、顧客の課題や導入条件を聞き、顧客に合った提案書を作成するのは営業担当者の役割である。それをウェブで実現してしまうということは、IBMの営業担当者は顧客の課題をもっと深く理解し、ソリューションをもっときめ細かく顧客視点で設計することができるのだと暗に訴えているようにも感じられる。

 話が長くなったが、私もこの本を参考に自社の営業プロセス全体を見直してみよう。

 (※)1ヶ月ぐらい前まではこの機能が使えた(私も使ってみた)のだが、残念ながらこの記事を書いている時点(8月19日)では該当ページが見当たらないようだ。
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