その一言に経験価値を凝縮する−『幸福を見つめるコピー』
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1年半ほど前に神奈川県に引っ越してから二子玉川に行く機会が増えたのだが、去年の秋頃だっただろうか、二子玉川駅のホームと改札をつなぐ長いエスカレーターの横の壁に、
「都心さえ、あこがれる街。二子玉川」
というコピーの広告が一斉に貼り出された時期があった。よく見ると、再開発が進む二子玉川に新しく建てられる東急不動産のマンションの広告だった。何と挑発的な…(笑)と思う反面、心の中で密かに抱いていた「二子玉川というステータスへの憧れ」を見事に見透かされた気がして、どこか恥ずかしくなったのを覚えている。
今年に入ってから、自社の会社案内に載せるキャッチフレーズやセミナーのタイトルを考える機会が増えた。CMや雑誌広告の制作とはおよそ比べ物にならないだろうが、短い言葉で読み手の心をぐっとつかむコピーをひねり出すのにはやはり毎回苦労させられる。第一線で活躍するコピーライターの仕事が何か参考にならないかと思って買ったのがこの本である。
実は、あの二子玉川のコピーを作ったのが、この本の著者である岩崎俊一氏であった。本書には、岩崎氏がこれまで手がけた代表的なコピーと、それらのコピーの土壌となった著者自身の人生の体験がエッセイとして収められている。
素朴な疑問だが、コピーライターはどんな気持ちでコピーを考えているのだろうか?岩崎氏はこんな風に述べていた。
幸福になること。商品はそれ自体の機能に価値があるというよりも、それを使う人が商品を通じて味わう経験にこそ価値がある。その経験とは究極的には「幸福」である。その幸福という価値を一言に凝縮するのがコピーライティングの仕事なのだろう。
人は、まちがいなく、その北極星をめざしている。
そのためにこそ、さまざまな表現物はこの世に生まれ、人に出会い、出会った人の心に寄りそい、背中を抱きしめ、そして人の前に火を灯して、歩むべき道を照らす。
コピーも例外ではない、といばるつもりはないが、少なくともここをめざして書かなければいけないと、ずっと思ってきた。
それは、企業は何のために存在するのか、商品は何のために生まれてくるのかを考えれば、自明である。
すなわち、人の役に立つためである。人を助け、人を育て、人を守り、人を愉快にし、人によろこびを提供するためだ。すべての広告は、ここを「基地」とし、発信される表現物だ。それが、「幸福」という北極星をめざさないわけはないのである。
なるほど、岩崎氏がサントリーのお歳暮のCMで手がけた「あなたに会えたお礼です。」(1985年)、「さしあげたのは、時間です。」(1986年)などは、ギフトを媒介として贈る側と受け取る側との間で交わる幸福の感情が詰まっていて、20年以上経った今でもぐっとくるフレーズだ。
私も自社商品の「経験価値」を考え直してみることにしよう。







コメント
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http://sirube-note.com/copywriter/
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Posted by: sirube | August 11, 2009 17:24