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November 20, 2008

インタビューはボクシングに似たり−『コンサルタントの「質問力」』

拍手してくれたら嬉しいな⇒
野口 吉昭
PHP研究所
おすすめ平均:
「インタビューは仮説を検証する場」という発想に脱帽
Easyに書きすぎでは?
自慢ばかり・・・
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 インタビューで大事なことをさらっと知りたい場合はこの本を読んでください。

いきなりストレートを打つバカはいない
 インタビューはボクシングに似ているなと思う時がある。ボクシングでは、ジャブで相手との間合いを詰めながら、コンビネーション技で相手を揺さぶり、最後は強烈な一撃を食らわせてノックダウンを奪う。インタビューでも、相手から情報を少しずつ引き出しつつ、さまざまな角度から質問を繰り返して相手の懐に入り込み、ここぞというタイミングで核心を突く質問をする。ボクシングで開始早々ストレートを打つバカがいないのと同様に、インタビューにおいても、挨拶もそこそこにいきなり核心的なことを尋ねるのは愚行である。

 先日紹介した『質問力 論理的に「考える」ためのトレーニング』の中に、ある会社の発電所が事故を起こし、会社側の記者会見でマスコミ関係者がいきなり次のような質問をする、というケースが出てくる(なお、そのケースはフィクション)。

 「いま、国民は△△発電所にたいして大いなる不安をもって注視しています。そこで、一番というか唯一絶対の関心が、△△発電は安全なのか、それとも危険なのか、という点です。これは、どうですか?」

 こんなふうに聞かれて、「安全です」とも「危険です」とも回答する人がいないことは明らかである。

最後の一撃に向けてどう攻撃の手を組み立てるか?
 ボクシングでパンチをどう組み合わせて相手を攻めるかを考えるのと同様に、インタビューでも核心を突く質問に至るまで、どのように質問を組み立てるのかを考える必要がある。本書の中では、質問ツリーを使ってインタビューのシナリオを考えるという手法が紹介されている。下の図は、A営業所の売上不振の原因についてインタビューする際の質問ツリーである。
質問ツリー

 一番の核心は、第一階層にある「A営業所の売上不振の原因とは?」ということなのだが、インタビューの最初で「ずばり、A営業所の売上不振の原因は何ですか?」と聞いてはいけない。「ずばり…」とか「単刀直入に聞きますが…」という質問はいかにも核心を突くような鋭い質問のように聞こえるが、これを最初にもってきても、相手の頭の中に直感的に浮かんだ回答しか返ってこない。これではインタビューの深みがない。

 そこで、売上に影響する因子を分解してみる。上の例では、第二階層において、商品群別、チャネル別、顧客別、そして(MECEがやや崩れるが)マネジメント面という4つの視点から問題の所在を探ろうとしている。さらに第三階層では、それぞれの視点で問題を考えるにあたっての材料となる事実を聞き出す質問を書き出している。

 ここまでやっておくと、インタビューの全体のシナリオが描きやすい。質問ツリーは左から順番に作成していくが、実際の質問は右から順番に行われる。第三階層の質問がいわばジャブだ。これらの質問で基礎的な情報を順番に聞き出していき、相手との間合いを詰める。第三階層から第二階層に移るところがコンビネーションにあたる。ここでは、「先ほどのお話を踏まえると、商品群別に見た場合の問題はどこにあるとお考えですか?」といった具合に相手の考えに踏み込んでいく。コンビネーションで相手を十分に攻めたところで、いよいよ最後の一撃を放つ。「つまり、4つの視点を総合すると、A営業所の問題は○○にありますよね?」

事前に情報を集めておくとコンビネーションの幅が広がる
 攻め方をきちんと組み立てておけば、重大な質問を漏らすことなく、一番聞きたいことまでたどり着くことができる。自分がほとんど見識を持たないテーマについてインタビューする場合であっても、こうした質問の枠組みさえ作っておけば、それなりにインタビューできる。世の中の質問が上手な人というのは、こうしたシナリオ作りがうまい。だから、どんなテーマのインタビューであってもうまく対処できる。

 だが、もっと深みのあるインタビューをしようと思ったら、先ほど作った質問ツリーの各質問に関する情報を事前に集めておくことが重要になる(当たり前だが)。つまり、商品別売上情報、チャネル別売上情報といった第三階層の質問に関連する情報を集めておき、第二階層、第一階層の質問に対する答えを仮説ベースで考えておく。また、インタビューの相手が商品、チャネル、顧客などについての過去にどのような発言をしたのか社内資料からピックアップしたり、ニュース記事から収集したりする(相手がニュースに出るほど立場が上であるか有名人である場合に限られるが)ことも有効だ。

 そうすると、「我々が集めた情報では○○となっていますが、先ほどの発言とどのように関連させればいいですか?」、「それらの事実からすると我々は○○と考えますが、あなたが△△とおっしゃるのはなぜですか?」、「あなたは過去にZ製品について○○と述べていらっしゃいますが、△△という考えに変わったのはどういう理由からですか?」といった、いろんなコンビネーションが打てるようになる。技のバリエーションが増えれば、核心に迫る確率も上がるだろう。

「ルビコン川を渡る」
 核心に迫る質問は、直視するのを何となく避けてきた問題を白日の下に晒したり、やらなければならないと思いながらなおざりになっていた重要な施策に目を向けさせる。その意味では、相手に覚悟を促す質問であるともいえる。こうした、相手のコミットメントを引き出し、一度実行したらもう後戻りができないような決断を迫ることを著者は「ルビコン川を渡る」と表現している。
 「ルビコン川はイタリア北部を流れる川のことで、古代ローマではこの川が本土と属州の国境線となっていた。当時は武装した状態でルビコン川を越えてローマに入ることは禁じられていた。

 しかしガリア(フランス)遠征中に政敵ポンペイウスの画策によりガリア属州総督解任と本国召還を命じられたジュリアス・シーザーは、『賽は投げられた』という有名な言葉とともに、国禁を犯して武装した状態でルビコン川を渡った。そして内乱を経てポンペイウスを打ち破り、権力を掌握したのである。」
 これは面白い例えだと思った。もちろん、これまでの繰り返しになるが、いきなり相手の手を引っ張って「ルビコン川を渡りましょう」などと言っても誰もついてこない。ボクシング的アプローチで相手の心に徐々に迫っていき、一番いいタイミングでこのセリフを言うことが重要だと思う。
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