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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
April 21, 2008

フェルミ推定(≒地頭力?)の有用性

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診断士でもフェルミ推定を嫌う人がいる!?
 フェルミ推定−いや、今や「地頭力」という言葉の方がなじみがあるだろう−は、コンサルティングの現場ではよく使われる。フェルミ推定の説明は巷にあふれているので、拝借…

 「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」「日本全国に電柱は何本あるか?」「世界中で1日に食べられるピザは何枚か?」……。こうした荒唐無稽とも思える問いへの解答を導き出す考え方のプロセスを問うのが、「フェルミ推定」だ。「フェルミ推定」と呼ばれるのは、「原子力の父」として知られ、ノーベル物理学賞受賞者でもある、エンリコ・フェルミ(1901〜1954)に由来する。

 「フェルミ推定」では、つかみどころのない数量、物理量について、何らかの推定ロジックを用いて短時間で概算すること、すなわち短時間で「あたり」をつけることができるかどうかがポイントとなる。

 コンサルティング会社や外資系企業の面接試験では、この「フェルミ推定」問題がよく出される。それは、採用側に、応募者の「地頭のよさ」をテストしたいニーズがあるからに他ならない。
http://www.toyokeizai.co.jp/pub/recommend/555986/index.html 2008年4月21日アクセス確認済み)

 さすがに現場では「シカゴのピアノ調律師の数」を計算することはないが、マーケティング戦略を立てるときにある市場の規模を概算したり、事業シミュレーションでざっくりとした売上・コスト推移を把握したりする際にフェルミ推定を使う。

 だが、中にはこうした考え方を嫌う人たちもいるようだ。少なくとも、コンサルタント嫌いな人たち(確かに、コンサルティングが嫌われやすい職種であることは私も感じている)からはフェルミ推定が敬遠されている気がする。ただ、驚いたのは、(一応)コンサルタントである中小企業診断士の中にも、真正面からフェルミ推定を否定する人がいるということである。

フェルミ推定の有用性 〜診断士向け
 はっきり言って、売上や利益に関するパラメータが少ない中小企業を相手にする診断士の方が、フェルミ推定の使い道は多いと思う。「過当競争でシェアが伸ばしにくいのか、単に努力が足りなくてシェアが低いのか」、「どの商品を毎月どのくらい売ればいいのか」、「営業は毎月いくら売上を上げなければならないのか」、「売掛金の回収サイトはどのくらいでないと資金がショートするのか」、「パートやアルバイトは何人まで使っていいのか」、「○○万円の売上増を達成するためには、広告をどのくらい打てばよいのか」…こういった問いはフェルミ推定を使えば当たりはつけられる。もちろん、中小企業の方が1円単位で金額にシビアであるため、ざっくりした計算では足らない、という意見はあるだろう。だが、私が知る限りでは、診断士の間ではそもそも数字を用いた議論があまりにも少ないように思える。

 私が学生だったころに、コンサル業界を志望する学生の間で流行った「遊び」がある。それは、飲食店でご飯を食べながら、「その店の店長が乗っている車を当てる」というもの。メニュー、席数、営業時間、店員数、店舗の広さといったいくつかのパラメータを用いて、その店のおおよその利益をフェルミ推定で算出する。すると、そこから店長のだいたいの収入が解り、乗っている車の検討もつく。ナプキンの裏に計算式を書きながら、ポルシェだのフェラーリだのと各自予想を立てた後で、帰りがけに駐車場を覗いて正解を確認する。

 飲食店の場合は学生でも容易に計算できるほどパラメータが少ない。一般に、中小企業の方が考えるべきパラメータの数は少なくて済むはずだから、診断士にはぜひフェルミ推計を活用して、どうすれば儲かるのかを現実感をもって考えてほしいものである。

「無茶な数字」を見破る
 このブログを見ているのは診断士だけではない(むしろ、診断士以外の方が多いはず)だろうから、もう1つ違う使い方を挙げておく。「うちの会社では数字を使った議論ぐらいしているよ」という場合は、「無茶な数字」を見破るためにフェルミ推計を使う。

 会社にはいろんな目標数値が飛び交っている。だが、全部が全部何らかの根拠をもって策定されたものではない。中には誰かの「えいやっ!」で決められたものもあるだろう。それが達成可能かどうなのか、フェルミ推定を使ってシミュレーションしてみるといい。「どうやっても無理!」という目標が混じっているかもしれない。そんな目標が知らず知らずのうちに一人歩きするのは、社員にとっても会社にとっても不幸である。高いチャレンジングな目標はモチベーションを高めるが、高すぎる目標は逆にやる気をそぐ。

もちろん、フェルミ推定がすべてではない
 最後に付け加えておきたいのだが、人の頭の良さはフェルミ推定ができるか否かだけで判断できるものではない。むしろ、非常に限られた一部分でしかないと思う。さらには、頭の良さだけが人間の価値を決めるのではないことも指摘しておきたい。
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