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新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
February 13, 2006
日本も所得収支の黒字が貿易収支の黒字を上回り「成熟した債権国」に
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[国際収支]「投資」黒字幅、「貿易」上回る 05年所得収支の黒字額は、貿易収支の黒字額7兆6027億円を約4兆円上回ったことになります。思い返してみると、学校教育でも一般の経済ニュースでも、取り上げられるのはいつも貿易黒字ばかりで、所得収支に光が当たることはほとんどなかったように思われます。
財務省が13日に発表した05年国際収支速報によると、日本企業の海外投資に伴う金利収入などを示す所得収支の黒字額が前年比22.5%増の11兆3595億円となり、年ベースで初めて貿易収支の黒字額を上回った。輸出で黒字を積み上げてきた日本経済が、投資で収益を稼ぐ構造に変化してきたことを示している。(毎日新聞)
所得収支とは、日本が過去の海外投資や証券投資などによって積み上げた資産が生み出す配当や利子などの収益から、外国勢が日本国内への直接投資や証券投資などによって蓄積した資産が生む配当や利子などを差し引いたものです。直接投資による収益の例としては、日本企業が外国に現地製造を行うための子会社を設立し、子会社から株式の配当を受け取る場合が挙げられます。また証券投資による収益の例としては、日本の投資家が所有する海外企業の株式や外国の債券に対して支払われる配当および利子があります。
所得収支の内訳を見てみると、直接投資収益の黒字額、証券投資収益の黒字額ともに前年よりも増加しています。製造業は以前から欧米での現地生産を進めており、これに加えて近年はアジア諸国への直接投資が増えたことが、直接投資収益の黒字額の増加原因になっています。とはいえ、直接投資収益の黒字額は約2兆円であり、所得収支の黒字額全体に占める割合はそれほど高くありません。
所得収支の黒字額の大半を占めるのは証券投資収益の黒字額(約8兆6千億円)です。さらに内訳を見てみると、圧倒的に債権利子による黒字額(約7兆6千億円)が高くなっています。この債権の大半はアメリカの国債です。
かつて日米間で貿易摩擦が問題となった際、アメリカは対米輸出を減少させるために、日本企業に対してアメリカ国内で現地生産を行うように圧力をかけました。それ以来、日本企業のアメリカに対する直接投資は増加しているのですが、肝心の対米輸出額は減少するどころか拡張路線にあります。アメリカの貿易赤字は解消されず、日本のアメリカに対する債権額はどんどん膨らんでいきました。
これだけ国家が債務超過に陥れば、外国に支払う金がなくなって倒産するはずです。しかしアメリカの賢い(?)ところは、自国通貨で借金をしているという点です。つまり、金が不足すれば自分で紙幣を増刷すればいいのです。この賢さ(?)も手伝って、対日債務はますます増えています。対日債務が増えれば、日本では債権利子の受取が増加します。日本の所得収支の黒字額が増加してきたのは、こうした背景があるためであると考えられます。
国際収支の成熟モデルに従うと、日本は貿易ではなく投資によって利益を稼ぐ「成熟した債権国」(かつてのイギリスや現在のスイスがこれに当たるらしい)になりつつあるというのですが、果たして今後日本の国際収支はどうなるのでしょうか?
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