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August 23, 2005

権限・責任一致の原則について

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 権限・責任一致の原則は、組織論や経営理論の教科書などにおいて、組織構造を基礎付ける原則の一つとして取り上げられているものです。

 権限と責任は、組織上の目的や目的のための様々な目標を達成するために、組織活動にとって必要不可欠な要件です。職務において、「義務」、「責任」、「権限」は三面等価の関係にあり、職務を与えられれば必然的に義務と責任を負い、その義務と責任を全うするために職務遂行の権限も同等に与えられなければなりません。これを「権限・責任一致の原則」といいます。

 私はこの原則について、以下の2点を指摘したいと思います。

 第一に、「権限」の意味する内容です。権限が権力ではないことは明らかです。前者は「あることを成しうること」を意味するのに対し、後者は「あることを命じること」を意味するからです。しかし、権限が何を成しうるのかは、慎重に明らかにしなければなりません。

 今年度の中小企業診断士第1次試験の「企業経営理論」という科目の中で、権限に関する問いが出題されました。この問題では、権限とは「職務を遂行するための、組織内の諸資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)を一定の自由裁量の範囲内で使用する権利」とされていました。

 ところが、これは真理の半面でしかないと私は考えています。先ほどの説明は、組織内の諸資源の分配に関する説明でしかありません。

 組織は自らが目的とする成果を上げるために活動をしています。組織は、諸資源を投入して、成果を産出しているのです。そして、この投入−産出の図式は、組織に属する各個人の活動にも当てはめることができます。

 権限が諸資源の分配のみを説明するのであれば、個人が組織にとって有益な成果を生み出すことの保証が得られません。それはちょうど、かつての経済学が財の適正配分のみを説明し、経済成長を説明することができなかったという限界と類似しています。

 権限は、組織の諸資源の使用に加えて、組織の目的に合致するように成果を生み出すことにも与えられなければならないのです。

 第二に、権限・責任一致の原則は、決して権限を有する範囲においてのみ責任を有するということを意味しないということです。権限を有しなくても責任が生じることがあります。(JR福知山線の脱線事故をめぐる一連の出来事を思い出してみてください。)

 組織の成員には、権限を超えた責任が課せられるということこそが、組織が組織たる所以なのです。だから、「権限・責任一致の原則」というよりは、「権限≦責任の原則」と呼ぶのがむしろ相応しいと思うのです。
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