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June 17, 2005

二クラス・ルーマンのいう「複雑性の縮減」によって、複雑な外部環境に対応する

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 外部環境は複雑である。自分自身や、自らが属する組織の外部では、無数の人々や組織が多様な活動を繰り広げている。我々は外部環境がいかなるものであるか、もはや十分に知ることはできないかのように思える。

 外部環境の複雑性に対応する方法は2つしかない。一つは目と耳を閉ざすこと、もう一つは複雑性を自らの中に取り込むことである。

 前者は安定志向である。異質なものを受け入れなければこれほど楽なことはない。混乱もない。しかし、それが有効なのは短期間である。外部の複雑性は思わぬ変化をもたらす。変化は時にとんでもないところからやって来る。そして、その変化が安定志向の人間や組織を淘汰する。

 後者は常に努力を必要とする。時に苦痛を伴う。継続的に苦い薬を飲み続けているようなものである。しかし、我々にはある程度のワクチンが必要であり、それを注射することが免疫を高めるように、異質なものを適度に取り入れることは長期的に安定をもたらす。ルーマンが「複雑性の縮減」と呼んだところのもの、すなわち、「システムは、より複雑怪奇な外部環境との出入りに耐える程度に、システム自身を複雑化する」ことによって、システム境界を維持しているのである。

 優れた経営管理者は、自分が専門としている仕事の分野以外の分野にも高い関心を示し、書籍や雑誌で情報を得たり、その分野に長けている人物と交流を持ったりしていることが多いということが研究で明らかになっている。また、優れた経営管理者に、多様な趣味を持つ人物が多いこともよく知られている。これらも、外部環境の複雑性を縮減し、自分自身を安定させるための行動である。

 外部環境との境界に鉄壁を築くのは危険である。境界には、外部の粒子を通すことのできる膜を張らなければならない。外部環境との浸透圧の差を利用して、内部に外部の複雑性を取り入れる仕組みを用意しておくのが賢明である。


《参考文献》
二クラス・ルーマン著、大庭健、正村俊之訳『信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム』(勁草書房、1990年)

信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム
ニクラス・ルーマン 大庭 健

勁草書房 1990-12-10

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